プラットフォームシフティングコンセプトのインプラント周囲辺縁骨高さのデンタルエックス線写真による評価

O-38 プラットフォームシフティングコンセプトのインプラント周囲辺縁骨高さのデンタルエックス線写真による評価

Radiographic evaluation of marginal bone level around implants with shifted platform

○ 中島 和敏1),宮内 徹2),大滝 祐吉1),盛島 美智子1),森山 和郎1)
○ NAKAJIMA K1), MIYAUCHI T2), OTAKI Y1), MORISHIMA M1), MORIYAMA K1)

1)NPO 法人埼玉インプラント研究会,2)新潟再生歯学研究会
1)NPO Saitama Implant Association, 2)Association of Niigata Regenerative and Reconstructive Dentistry

Ⅰ目的: 近年プラットフォームシフティングコンセプトのインプラントが数種類販売され,審美領域を中心に多く臨床応用がなされている.そこで我々はこのインプラントの周囲辺縁骨の経年的な吸収程度をデンタルエックス線写真により評価したので報告する.

Ⅱ材料および方法: 2010年3月から2011年8月までの間に,審美領域の単独歯欠損をもつ患者10人にプラットフォームシフティングコンセプトのCamlog K series Promote Plusインプラント直径3.8×長さ11mm を4 本,直径3.8×長さ13mm を5本, 直径4.3×長さ13mm を1 本,合計11本のインプラント埋入術を行った.患者は年齢21歳から76歳で,男性2名,女性8名,合計10名であった.埋入直後と12ヵ月後にデンタルエックス線を撮影し,デジタルスケールにてインプラント近遠心2箇所の周囲骨頂の吸収量を測定した.

Ⅲ結果: 埋入した11本のインプラントは全てオッセオインテグレートし周囲組織も健全な状態であった.デンタルエックス線写真の計測の結果,12ヵ月後のインプラント周囲辺縁骨の垂直的吸収は0 ~ 0.84mmの範囲であり,平均骨喪失は0.29mmと非常に少なかった.加えて,インプラント周囲軟組織の顕著な変化も認められず,審美的にも良好な結果を得ることが出来た.

Ⅳ考察および結論: 審美領域におけるインプラント治療はインプラント周囲辺縁骨に生じる骨吸収,それに引き続くインプラント周囲軟組織の変化により審美的に妥協せざるを得ないことがある.しかし,プラットフォームシフティングコンセプトのインプラントは,辺縁骨吸収が少なく審美的に良好な結果が得られるとの報告のもと普及してきた.今回,短期の観察期間であるが,プラットフォームシフティングコンセプトを持つCamlog K series Promote PlusインプラントにおいてはX線的な周囲辺縁骨の吸収は少なく,審美的にも良好な結果を得ることが示唆された.今後は被験数を増やし加えて発生学起点を考慮し,長期にわたる観察が必要であると思われる.