インプラント埋入により、重篤なペリオの歯を保存できた1症例

O-55 インプラント埋入により,重篤なぺリオの歯を保存できた1症例

A case in which a critical periodontosis tooth has been saved by animplant

○ 中川 哲夫,関根 智之,安田 治男,根岸 邦雄,木村 憲一
○ NAKAGAWA T, SEKINE T, YASUDA H, NEGISI K, KIMURA K

NPO 法人埼玉インプラント研究会
NPO Saitama Implant Association

Ⅰ目的: インプラント治療を行うに当たり,口腔内の環境を整えることは言うまでもない.本症例では,インプラント治療を行うため患者に徹底したブラッシング指導を行い口腔内環境を整えた結果,欠損部にインプラントを埋入することができた.それにより安定した咬合が確立され保存困難な歯を保存することが可能になり良好な機能回復が得られたので報告する.

Ⅱ症例の概要: 患者は56歳女性 45 の咬合痛と46にインプラント埋入希望で来院.初診のレントゲンより45は保存困難と考えたが,生活習慣の重要性とブラッシングの努力による口腔内の改善を理解させるために,食生活の改善と長時間ブラッシングを励行させ,咬合調整と根管治療を行い,45の骨が安定したところで補綴処置を行い,欠損部には,2002.3月ストローマン社製直径4.1mm長さ10mm インプラントを埋入した.

Ⅲ経過: 最終補綴装着後の経過は2008年5月,臨床上の症状はなく,歯周組織,デンタルX線所見においても異常は認められなかった.患者は機能的に十分満足している.

Ⅳ考察および結論: 45 番の根管治療には10か月を要した.そしてインプラントを植立することにより,保存困難な歯を保存することができた.さらに生活習慣の改善と長時間ブラッシングの重要性に患者が気づいたことは有意義と考える.口腔内環境が悪い状況でインプラント治療を行った場合,その後インプラント周囲炎を発症することが少なくない.今回保存困難歯が予後良好になったのは,口腔内環境の改善,インプラント治療を行うことにより咬合の安定が得られたことによるものであ
る.